棋譜ちぇ〜っく

 書だ前後の囲碁仲間と打った碁です。私の白番で、四子局です。



 右下隅、右上隅は定石ですね。ちなみに右下隅の黒10は加藤正夫名誉王座が開発した定石で、N5に比べて地に辛い手です。厚みならN5ですが、ここは好みと作戦の違い。ただし、N3キリだけはありません。これは先の2つの手に比べて、N3アテやO2サガリなどのキキが多すぎますから。厚みでも地でも中途半端という、悪手の見本のような手です。キキはなるべく作らないように、が基本です。


 黒18、これは石の方向がはっきりと良くない。上辺は、右上隅の白がひとまず収まっている場所。攻めもすぐにはききません。したがって価値が低く、ここは左辺の広い方向に石を向かわせるべきでした。


 黒22は、「観音開き」という悪形の一つ。実戦のように三々が見え透いています。打つならば、C15コスミまたはC14ケイマが形です。ケイマの方が隅の味がハッキリと出ますが、地にも勢力にも頑張った手なので戦いにもなりやすくそれだけ勉強になります。激しく打って上達するという点で、ケイマをおすすめしておきます。


 黒24は押さえる方向が逆。さきほどのように、上辺は価値が低く、その方向に厚みを作っても働きません。C16の方から押さえて右辺に厚みを作り、C8の打ち込みを狙うべきでした。


 黒34は「強い石」から動いた効率の悪い手です。右下の黒はしっかりとした形で、よほどのことが無い限りは生きている石。その近くに飛ぶよりは、弱い石を補強した方がいいのです。弱い石とはどれか。それは左下隅黒の2子です。黒34では、G6と2子を補強しつつ下辺を広げるべきでしょう。実戦34にも「下辺を広げたい」という目的があったのでしょうが、それならば弱い石を補強しつつ広げた方が「一手の効率」がずっと高いのです。


 黒38、私ならばG3にコスミつけます。黒2子からコスミつけるのは通常は俗で隅のアジも悪いのですが、今回は右下隅の黒が異常に強いので、そちらに白を「押し付けたい」ところです。白も左辺にはまだC8の急所がありますから、すぐには左下隅には入れないでしょう。味悪もとりあえずは先のこと、まずは攻めにいきたいところでした。


 黒40は、私も勘違いしていましたが、よく考えてみると必要の無い手です。仮に白40とツギを打たれても、黒はN2に這っておけば相変わらず黒は強く白ばかりが重い形になります。したがって黒40では、下辺に襲い掛かるべきでした。G3コスミツケで狭く生かしても悪くないし、もしかしたら殺せるかもしれませんが、もっと厳しい手があります。37と39の大ゲイマには薄みがあるのです。一つがこの黒1↓


 ご覧のような切断手段があります。ただこの碁では隅に味があるため、上の参考図のように隅にフリカワリをされて今一つ。むしろ左下隅の黒が弱くなっています。


 そこでもう一つの切断方法がこれ↓


 この図なら先ほどよりも、

①黒を大きくエグリとっていますし
②まだ黒は収まっていませし
③左下隅の黒も強くなっていますから

 遥かに勝ります。この2つの切断方法を知っていれば、このように2つの図を思いついたうえでより良い図を選べるのです。知識を馬鹿にしてはいけません。


 白53以下は白がひどい。黒57でR10にぶつかっていれば、白は持ち込みでした。


 途中までの掲載ですが、既に白が良いと思います。やはり下辺から左下の攻防で白が威張りすぎたのが一番の原因でしょう。接近したときには、読みもさることながら、筋や形といった部分的な知識がとても役立つので、そのトレーニングをおすすめしておきます。5分以内で解けるような手筋の問題集を、一瞬で解けるようにするまで繰り返すのがいいかと思います。がんばってください。